月下に咲く表現者は、色を纏う

“ 月下美人の花開く。”
これは2019MMAでのジミンさんを見た、今から約1年前の私が残しておいた言葉。
軽く、淡く、鋭く、空気を裂く布の残影さえ操りながら、しなやかに力強く舞う、白。少なくともあの瞬間、あの数分間、私にとって彼は世界でいちばん美しい白だったと、今でも思う。
それが目に焼き付いて、離れなくて、暗闇に映える白の美しさに重ねた、のもきっとそう。
だけど“花開く”と残したのにも理由があって。
それはその日のジミンさんの姿に、月下美人が花開く、その一瞬と同じ情緒を感じたから。

月下美人は、年に数回、夜の数時間しか開かない、とても神秘的で美しい花。だからその花の蕾が綻ぶ貴重な瞬間に居合わせたなら、人々は息を呑んでその様を見つめるのだろうと、朧げに考えていた。
もちろん私は見たことがないから、私の言うこの“花開くの情緒”は、想像でしかない。
でもその、呼吸さえ忘れるような感覚。目を逸らしてはいけないと、心が叫ぶ感覚の欠片を、私は確かにあの日、彼の中に見た。
それからというもの、私にとって月下美人はジミンさんの花、みたいになっていたんだけれども。今回お誕生日なのを機にちゃんともう一度しっかり調べ直してみて(調べてなかったんですか)、
私は、1年越しに驚くことになる。
『儚い美』
『儚い恋』
『繊細』
『秘めた情熱』
『強い意志』
『艶やかな美人』
『危険な快楽』(英)
『快楽』(仏)
『肉感的』(仏)
…もう、ジミンさんそのものじゃないかとさえ思った。彼が見せるいくつもの側面に名前をつけた時、思いつきそうな言葉ばかりが並んでいて嘘みたい。なんてよくできた偶然。月下美人は今日という日に、完全にジミンさんの花になってしまった。
それに加えて、
月下美人が咲くと、すぐに分かるほど周囲10mほどにいい匂いが漂います。ベランダなどの場所で咲いていると、部屋が匂いでいっぱいに広がるほどの強い香りです。
この記述を読んだ時、なんだかすごく彼の影を感じた。香りというか、その香りの広がり方。それが私の中で、ステージ上のジミンさんに持つイメージと繋がった。
ぶわり、広がる。色のような香りのような、無形の何か。飲み込まれた私たちの瞳は、気づけばその主を探している。
この“ 何か”、の名前がずっとわからずにいた。
…なんなんだろうこれは。彼の出す雰囲気?オーラ?…なんだかどれも、しっくりこなくて。
でも、ある時、ひとつの答えのようなものが見つかった。他ならぬジミンさんが、そう歌ったことによって。
私たちの心の目に映る、無形の揺らぎ。
“ 何か”の正体とは、
フィルターの色、なのかもしれない。

どんなフィルター、どんな空気を纏うのかを、
彼は選んでいる。
팔레트 속 색을 섞어
パレットの色を混ぜる
その歌詞のように。
混ぜる前のパレットに乗せられた色はたぶん “ 魅せ方の種類 ”。たくさんの時間と経験を経て、時に何かを犠牲にしながら、ジミンさんは少しずつ地道に、この色を増やしてきた。
もしそれらを絵の具、とするのなら。
それはきっと、“ 努力”という名前の結晶を粉にした顔料、みたいなもの。
ラピスラズリを砕いて作る、瑠璃色と同じ製法で、“ 努力のひと” の努力の結晶から生まれた、色たち。それが最高純度を誇るのは、言うまでもなく。
混じり気のない鮮明な色彩は、1色でも十分、心の目に焼き付く。目を逸らしても、目の奥に色がじんわりと残るほどに。

…なのに、それなのに。
ジミンさんはそれをさらに、混ぜることができるのだから、…もうほぼ、チートだ。
普通絵の具は、混ぜる色味が増えるほど、明度も彩度も下がっていく。赤と青の絵の具を混ぜたことがある人ならわかると思う。紫になると人は言うけれど、いざ出来上がった紫は、想像した鮮やかな紫…ではない。
でも、どうやらジミンさんは知っている。
赤を青を混ぜて、鮮やかな紫を作る方法を。
愛しさと哀しみ、異なる2色を、濁らせず殺さず、新しい色に生まれ変わらせる方法を。
全く…なんて罪づくりなひと、なのか。
彼の感覚で配合されたその色は、きっとジミンさんにしか作れない。誰も真似できないその色を纏いながら彼は微笑む、
어떤 나를 원해
どんな僕が欲しいの?
強く香り立つような、存在感。
余韻は長く、深く残る。
1度見た、彼の色を私たちは忘れられない。
…と、ここまで考えて。
…ひとつ、ある疑問が沸いた。
“ このフィルターは…演技、なのだろうか?”

…難しくて、すぐには答えが出なくて。
色々調べてから、頭を悩ませた、結果。
私は、ちょっと演技とは別、なんじゃないかと思った。本当に主観的な意見なので、一概には言えないけれど…。(あくまで一意見として読んでください)
確かに、演技を全くしていないか、と言われると、そんなことはないと思う。MVなんかは特に。けれど、
“ 表現”なのか、“ 演技”なのか。
そのベクトルで考えると、私から見たステージ上のジミンさんはどうしても表現者、で。
舞踊科主席…とかは置いておいて、自分なりに理由を探した。(途中演技だって表現の一部であり…という思考に至って迷走しつつ)そして、ちょっと仮説的ではあるけれど思ったのは、
フィルター越しにジミンさんの姿が透けて見えるから、じゃないかということ。
もし彼が演技をしているのなら、きっとフィルターは、無形ではないし、透けないはずで。
テヒョンさんがその点は対照的で、わかりやすいのかもしれない。テヒョンさんが “ V ”になる時、テヒョンさん本人は見えない、というか意識的に分けているような気がする。逆もそう。テヒョンさんがばんたんのみんなでわいわいしている時、“ V ”はその場にいない。
でも、ジミンさんの場合は。
フィルターの色が、普段の何気ない時、無意識に滲んでいるように思える瞬間がある。それは、かっこよさ、優しさ、あざとさ、色気、雄っぽさ…etc。ステージでのものに比べたら淡くはあるけれど、確かに覚えがある、色。
“JIMIN ”の奥にジミンさんを見る。
ジミンさんの奥にも“JIMIN ”を見る。
そんなことが起こるから、私はジミンさんのフィルターの色達、その土台になるものは常に彼の中に淡く存在しているんだろうな、とぼんやり考えた。
そんな言わば色の元は長い間、蒸留だったり、ろ過だったり、研磨みたいな過程を経て、上で言ったように “努力の結晶”、のちに “最高純度の色を誇る顔料 ” になる。
そしてフィルター用の絵の具として、舞台上でだけ意図的に彼のパレットに乗せられる…のかな、なんて。
…言葉にするのが難しいな、伝わってるかわからない…笑 とりあえず私が思うジミンさんはそう、なのです。
ジミンさんという人。
世界でいちばん“魅力的 ”の言葉が似合う人。
そう言えるのは、磨かれた外見、唯一無二な声、そのパフォーマンスだけではなくて、ジミンさん自身が中身まで、とても素敵な人だから。
ここまで散々彼の “ 色 ”の話をしたけれど、
…最後に、もうひとつだけ。
彼の、魂の色の話をさせて欲しい。

ひたむきさや真面目さ、誰にでも寄り添ってくれる思いやりに溢れた優しさは、ジミンさんの芯にある人柄で。あたたかいその言葉を聞く度、ジミンさんが誰かの心に寄り添うのを目にする度に、何となく。その魂の形は綺麗なまんまる、なんだろうなと想像してた。その表面にはゆらゆらと、色が滲む。宿している鮮やかな気配を思わせるように。
…こうやって文字にしてみて、はじめて気がついた。私が勝手に想像しているジミンさんの魂はどうやら、
しゃぼん玉によく似ている、らしい。
無論そんなに壊れやすいものだとは思っていないけれど。(というか、壊れて消えるなんてことは、私が許さない)
あの不思議な揺れる虹色は、子供ながらにずっと眺めていたいと思えるような、特別、だった。私のはじまりから数えた方が早い場所にある “ 綺麗なもの”の記憶。
その記憶を、大人になった私は今、幸せであって欲しい人の魂の色に重ねている。

そんな泡色の魂を持つ、私たちの天使さんは笑うと前が見えないらしい。
でも、そうなる瞬間がたくさんあればいいなと思う。前が見えないのは困りものだけど、貴方が満面の笑顔でいられる回数は多ければ多いほどいいと、私は願っているのですよ、ジミンさん。
代わりに、貴方にとっての寂しい夜は、数を減らしますように。貴方が孤独を感じるのなら、心の中で手を繋ぐから。
ぬくもりは届かなくても、真心を込めて。
貴方のことをひとりぼっちになんか絶対にしない、そんな私の約束を込めて。
愛してます、貴方がいつも私たちに言ってくれる、それよりももっと。
貴方の持つ色の全て、そして貴方自身を。
Happy birthday !!
2020.10.13 Tou