君の理想郷の住民Bになれたなら
めいっぱいの夏を抱いたまま、どこか遠くで聞こえる微かな秋に気がついて。それでいて瞳はまだ、燃える様な天の青から離せない。
そんな9月の始まりの日に、生まれた君へ。
大きな目、整った顔。私の常識からすれば、どう考えても長い手足。甘い歌声は、聞く人の心を震わせて。ダンスもキレキレ、腹筋バキバキ、運動神経はぴかいち。絵だってさらっと描けちゃうし、繊細に音を重ねた綺麗な曲まで作れる。
出来ないことを探す方が難しい。
“ だって、じょんぐくだから。”
神さまの最高傑作。黄金の異名を持つ君。
そんな貴方を知った頃、私が抱いた初めての感情は、憧れ……なんて、綺麗なものではなく。
小さな嫉妬、だった気がする。
だってずるい。何でも持ってて…こんな奴きっと自信家で性格の悪いチャラチャラした陽キャに決まってる、きっとそうだ…ふんっ…
我ながら酷い偏見で、キラキラの君を羨ましがってた…ごめん、じょんぐく。
タイムマシンがあったら一旦私のこと、ぶん殴ってくるので。
蓋を開けてみればじょんぐくという人は、ただひたすらに一途で真っ直ぐで、澄み切ったエメラルドブルーの湖みたいな人だった。きっとそこは深く潜っても普通に息ができて、体を纏う水は冷たくなくて、差し込んで乱反射する光の元、素敵な歌声が響いてるんだろう。
歌うのが好き。ステージが好き。6人のひょんたちが好き。でも1番は、やっぱりあみ。
じょんぐくはいつだってあたたかい愛をくれる。優しい眼差しで、甘く溶ける声と歌で、
“ 아무행알”
その言葉通り、私たちの幸せを願って。
こんな…こんな心まで綺麗な人、いるんだ…
どうしようもないような人たちが多い世の中で、じょんぐくという存在はある種の驚きだった。15歳という若さであの世界に入って、きっと人の暗い面とか嫌なところもたくさん知ったはず、だからこそ。
だけどそれは彼の内面を大人にしただけで、どうやらじょんぐくの深いところはブレずにずっと変わらないらしい。
それを守ってくれたのは、やっぱり6人のひょんたちなんだろうなとも思う。今年のFESTAの寄せ書きで6人がじょんぐくにあてた一言は、それぐらい愛に溢れてた。じょんぐくのそばにいるのがあの6人でよかったと心から思った。もう、7人まとめて愛してる。どうしたってばんたんForever、なのだ。
7人でいるときのじょんぐくは、意外とひょんにバッサリものを言ったり、我が物顔の赤ちゃん大魔王だったり、ずっと何やらむしゃむしゃ食べてたり、手を叩きながら大笑いしたり、とにかく自由で楽しそうで、私はかっこいいじょんぐくももちろん好きだけど、そのご機嫌!みたいな姿が好きだ。きっと、君が笑っているのを見ると、幸せなんだと思う。その笑顔が消えないように、ずっと世界が優しければいいのに。
じょんぐくはよく、もっと頑張って、もっと成長して、もっとあみにいい姿を見せたい、そんなことを言う。
だけど成長“し続ける”って、すごく難しい。次の階段は前のものより必ず高いように出来てて、繰り返すほど、それを越えるにはそれだけの努力を積み上げなきゃいけない。これはばんたん全員に言えることだけど、トップレベルと呼ばれるまでに登りつめてしまったからこそ、苦しくて重い次への1歩を踏み出して、日々進み続ける彼らを私は尊敬してる。
それができる理由は?そう尋ねられたら、君はきっとまたあみの名前を呼ぶんだろう。
じょんぐくの大部分は、ばんたんとあみとステージでできている気がする。それが「情熱なく生きるくらいなら死んだ方がマシだ」と刻む彼の情熱の形であり、彼の世界の全てかのように。
私の世界は、沢山のものでごちゃごちゃ組み立てられていて、多分何かひとつぐらいは欠けても他のものが支えてくれると思う。
だけど、じょんぐくは違う。
彼が生きているのは、数本ある大きな柱の上に立てられた、限りなく美しいけれど、危うさを孕んだユートピアで。
私はちょっと、怖くなる。
柱のうちの1本がもし折られてしまったら、そこは壊れてしまうんじゃないか。エメラルドブルーの湖に投げ込まれた毒は、一瞬で君を蝕んでしまうんじゃないか、と。
Still With Youの頃あの小さなウイルスのせいで、彼の世界には深い霧が立ち込めて、雨が降っていた。貴方はいつか霧が晴れること、夜明けが来ることを信じていたけど、それでもひとりぼっちの静寂で泣いているような気がして。君に傘をさしてあげたい、毛布で包み込んであげたい、そんな叶わない願いを抱きながら、私はただ切なくて甘い歌声を聞いていた。
早く彼らとあみが会える日が来ますように。
大事な人達が悲しむ夜なんて、もういらない。
どうか…どうか、はやく。
じょんぐくが“ 보고싶었어요 ”を、言えるように。
SYSのEuphoriaで空を飛びながら浮かべていた、あの本当に幸せそうな、愛おしそうな笑顔がまた見られるように。
じょんぐくと、「愛」について少し考えていることがある。それは貴方の誕生花、虎百合の花言葉のはなし。
“ 私を愛して”
一途で切ない叫びのような、そんな花言葉があることを私は知らなかった。
君は、いつから知っていたんだろう。
いつかの展示会でモチーフとして描いた時?
それとも、もっとずっと前…、なんだろうか。
わからないけど、貴方にとってあの花は“特別 ”で。その証みたいに、腕には一生枯れることのない、不滅の虎百合が1輪咲いてる。
ちらりと覗くそれに、考えてしまう。
その花に隠された言葉が、大きな意味を持って彼の心に住み着いている、のなら…?
私はその度、ちくり、棘を呑んだような感じがして。哀しさと、寂しさと、愛しさの混ざる、小さな胸の痛みに勝手に苦しくなったりする。
愛してる、愛してるよ、じょんぐく。
私は君の心に直接水を注いであげることは出来ないけど、いつだって、貴方自身を。
本当はじょんぐくには、自分のことを愛してあげて、と言いたい。完璧を求める君は自分に厳しくて、ダメなところばかり目に付いてしまうのかもしれないけど。それでも君は特別で、限りなく綺麗で、素敵な人だって、どうか知っていて欲しい。
そしてそんな貴方を愛している人が、貴方の幸せを願っている人たちが、数え切れないぐらいたくさんいることも。
好きな人はあみ、いつかそう言っていた君。
その理想郷の住民Bになれたなら。
私は君に、ぴんく色の胡蝶蘭を送りたい。
赤い薔薇はもっと情熱的に愛を伝えられるかもしれないけど、私が彼らへ伝えたい愛は透明でもう少しゆるりとしたもの、だと思うので。
愛を伝えながら、幸せが飛んでくることを願える、そんな花を君に。
最後の最後に私事になってしまうんだけど、私は“1日”という日付が苦手だ。
1ヶ月という大きな枠組みのことを、どうしても意識してしまうから。作品が未完成なのに、
“ はい、時間切れ”
そう言われて、二度と触れられないように鍵をかけて進まなきゃならない、そんな感じがするから。
だから1日は、私にとって少し「あーあ…」みたいな、鈍い憂鬱だった。いつからか1年に12回現れるようになった厄介な化け物、のような。
そいつがある時、1回分現れる数を減らした。
それは紛れもなく、
じょんぐく、貴方に出会えたからで。
9月の、1日。
秒針と分針が重なって、世界がほんの少し息を止めた、その直後から。世界は貴方への愛の言葉で色づき始める。貴方の笑顔と素敵なところを添えて、色とりどりに増えていく。花開くように、世界が再び息を止めるその瞬間まで、ずっと。
私はその光景を眺めながら、差し出がましくも幸せのお裾分けを貰ったような気持ちで、そっと1日を終えるのだ。きっと今年も、ついたちの化け物には出会うことなく。
ありがとう、君が今日という日に生まれたのは神さまのきまぐれだって知っているけど。
この夜をくれた君に、私も優しい夜と、一輪の花を返したい。
Happy birthday!!
貴方の1年が悲しみのないものであることを祈って。
2020.9.1 Tou